誌説
整形外科医がみる関節リウマチ
高橋 伸典
1
1愛知医科大学整形外科教授
pp.848-848
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_848
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関節リウマチ(RA)の薬物治療は近年飛躍的な進歩を遂げました.1999年のメトトレキサート(MTX),2003年の分子標的治療薬の登場により,臨床的寛解や低疾患活動性の達成が現実的な治療目標として設定できる環境となっています.一方で多数の薬剤が次々と登場する状況下で,内科医の参入と整形外科医の離散がすすんだ20年間であったことも事実であると思います.整形外科の日常診療は非常に多忙であり,そのなかで無限に出てくるとも感じられた新しい薬剤の勉強をすることが困難であったことは容易に理解できます.さらに当時治療対象となっていた患者は,よい治療薬が少ない時代を長く過ごした,ある意味での強者ぞろいでした.疾患活動性を残したままの長期罹病により,関節外症状としてのアミロイドーシスや間質性肺炎などの合併症がめずらしくない患者群で,しかも多くの患者は長期間にわたるステロイド使用者でした.そのような状況下で恐る恐る新しい薬を使ってみたら案の定,肺炎をはじめとしたさまざまな有害事象を経験し,ついにRA診療から手を引いた整形外科医も多くいらっしゃったと思います.
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