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はじめに:この領域のトピックス
続発性骨粗鬆症の代表として,ステロイド性骨粗鬆症(glucocorticoid induced osteoporosis:GIOP)と,関節リウマチ(RA)に伴う骨粗鬆症がある.両者は障害される臓器,使用される経口ステロイド薬の量や投与方法,骨密度などの点で相違点もあり(表1),本稿ではできるだけ両者を分けて解説する.
医薬品によって起こる骨粗鬆症の原因として,もっとも頻度が高いのは副腎皮質ステロイド(ステロイド)である.診療データベースを用いた解析によると,経口ステロイド薬使用者の骨折リスクは非使用者の1.6倍であった1).経口ステロイド薬は,小児から高齢者まで幅広い年齢層に,リウマチ性疾患に限らず呼吸器疾患や消化器疾患など多くの疾患で用いられ,65歳未満,65歳以上,RA,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患患者において,椎体骨折や非椎体骨折のリスクを有意に上昇させる(表2)2).GIOPの病態は,ステロイドによる骨形成の低下と骨吸収の亢進と考えられている.診療データベースを用いた解析によると,本邦のGIOPのガイドライン3)で薬物療法群にもかかわらず約半数しか骨粗鬆症の薬物療法が実施されていない1).
RAは骨粗鬆症を高頻度に合併し,RA患者の骨折発症リスクは非RA患者に比べて約2倍と考えられる4).メトトレキサートや分子標的薬の使用でRAの寛解例や低疾患活動性の患者は増加したが,骨折率は不変であり,特に女性患者は高齢化とともに骨折率が急上昇する4).RAに伴う骨粗鬆症の病態は,破骨細胞の活性化に伴う傍関節性骨粗鬆症,RAによる身体機能障害に伴う全身性の骨粗鬆症,GIOPが混在していると思われる.RA患者の骨折危険因子は,女性,高齢,骨折歴,疾患活動性,身体機能障害,ステロイドの一日内服量,人工膝関節置換術歴などがInstitute of Rheumatology Rheumatoid Arthritis(IORRA)コホートの結果から明らかになっている(表3)4).RA患者の骨粗鬆症治療もGIOPの結果1)と同様に,本来治療すべき患者の約半数しか実施されていない4).
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