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連載 卒後研修講座
慢性腰痛に関する疫学・臨床研究のエビデンス
Evidence of clinical study for chronic low back pain
町野 正明
1
,
中島 宏彰
1
,
今釜 史郎
1
M. Machino
1
,
H. Nakashima
1
,
S. Imagama
1
1名古屋大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya
キーワード:
chronic low back pain
,
epidemiology
,
clinical study
,
evidence
Keyword:
chronic low back pain
,
epidemiology
,
clinical study
,
evidence
pp.61-67
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_61
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は じ め に
近年増加している慢性疼痛において,腰痛がその原因として最多である.厚生労働省の国民生活基礎調査では腰痛が男性の有訴率1位,女性で2位と報告され,疫学研究では40歳以上のわが国の腰痛患者は推定1,580万人である.腰痛治療にはまず適切な診断が必要であるが,腰痛の85%が非特異的腰痛とされている.しかし,最近の研究では非特異的腰痛を減らせることも報告され,『腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)』でも,非特異的腰痛の安易な使用に注意すべきと記載されている1,2).
腰痛に関連する因子として,職業,心理社会的な側面,運動を含めた生活習慣についての既報を解説し,慢性疼痛に関する当施設の研究として,30年以上毎年行っている疫学研究(Yakumo study)を紹介する.この疫学研究から一般住民中高齢者における疼痛の特徴を把握することができ,有益な情報になると考える.また病院患者対象の臨床研究として,慢性腰痛の薬物治療に対する薬剤併用効果の前向き研究についても紹介する.
日本脊椎脊髄病学会(JSSR)プロジェクト委員会から「慢性腰痛に対する薬物別治療の費用対効果」に関する4つの報告が発表されている.慢性腰痛に関する臨床研究のエビデンスとして,慢性腰痛に関する治療の整理をするとともに新たな知見について解説する.
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