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1.は じ め に
獨協医科大学麻酔科学講座の山口重樹教授が会長を務められた第15回の本学会が,2022年11月19日(土)~20日(日)に開催された.場所は栃木県足利市ニューミヤコホテル足利本館で,現地+オンラインのハイブリット開催であった.今回のテーマは “学びの原点「足利」で運動器疼痛を学ぶ” であった.足利市には日本最古の学校としてよく知られる足利学校があり,足利市でわが国の学びの礎が築かれたとされている.
本学術集会の時分はちょうど紅葉や収穫祭の時期と重なっており,天候にも恵まれ十分に秋を感じられた.学会の講演会場は2フロアに集約されており,学会全体の演題に目をとおしやすかった.また,ロビーやポスター発表などには自然と人が集まり,久しぶりの再開らしき様子や新たな交流が行われている様子がみられた.学術集会中にも演者と座長の和やかなやりとりが多くあり,とても親しみやすい雰囲気で,麻酔科医の新人としてペインクリニックを志している私のような者にとってもたいへん居心地がよかった.質疑応答では,たとえば心療内科の先生の講演に対し,整形外科の先生が質問されるなど,異なる専門分野をもつ先生方同士での交流が盛んであるという印象を受けた.また,演者の先生方は各々の専門分野について他職種にわかりやすくご講演されており,知識や考え方を伝えたいという熱意が伝わってきた.本学術集会は今回で15回目と比較的新しい学会である.しかし演者や参加者は麻酔科,整形外科,リハビリテーション科,心療内科,精神科など多様な分野から集まった専門家の集団であるため,発表は洗練されており,内容も基礎研究的なものから臨床的なものまで網羅されており,たいへん充実していた.本学術集会を通じ,各分野の運動器疼痛へのとらえ方やアプローチを知ることができ,大きな収穫であった.ここ数年で本学会のようにオンデマンド配信という形式をとることが多くなってきており,拝聴できなかった講演の視聴やわからなかった点の復習ができるという点でたいへん便利であると感じている.
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