Vocabulary
バイオ3Dプリンティング技術
藤本 亮太
1
,
野中 俊宏
1
,
吉里 広
1
,
馬渡 正明
2
,
中山 功一
1
1佐賀大学再生医学研究センター
2佐賀大学整形外科
pp.448-448
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_448
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
疾患や外傷によって失われた臓器や組織の再生をめざし,再生医療研究が世界中ですすめられている.1993年に「tissue engineering(組織工学)」の概念が定義され,細胞・成長因子・足場材料(スキャフォールド)の3要素が,立体的な臓器や組織の作製に重要であると提唱された1).また幹細胞,特にinduced pluripotent stem cell(iPS細胞)の登場によって,臓器再生研究は飛躍的に進歩した.それに加え,近年バイオ3Dプリンティング技術は驚異的な発展を遂げており,3D造形技術を組織工学に応用して,生きた細胞を任意の場所に配置させて立体的な組織体を作製することが可能となった2).バイオ3Dプリンティングの造形方式として,押し出し方式,インクジェット方式,レーザー転写方式,光造形方式などがあげられる3).いずれの方式も液状のスキャフォールドと細胞を混合したバイオインクを用い,温度変化や光架橋効果を利用して立体構造を造形する.しかし,発生する熱や剪断力による細胞障害,バイオインク自体の細胞毒性などの弊害がある一方で4,5),スキャフォールドにも移植後の耐久性や感染などの懸念点が存在する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023