Japanese
English
カラーフォーラム
足爪白癬に対するホスラブコナゾール内服が奏効した1例
Clinical effectiveness of fosravuconazole for onychomycosis:report of a case
高桑 昌幸
1
,
和泉 俊平
1
,
野原 佑月
1
,
菊入 孝紘
1
M. Takakuwa
1
,
S. Izumi
1
,
Y. Nohara
1
,
T. Kikuiri
1
1高桑整形外科永山クリニック
1Dept. of Orthop. Surg., Takakuwa Orthopedics Nagayama Clinic, Asahikawa
キーワード:
fosravuconazole
,
onychomycosis
Keyword:
fosravuconazole
,
onychomycosis
pp.1284-1285
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1284
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≪は じ め に≫
渡辺らは1),本邦における足・爪白癬の疫学調査成績において1,100万人の爪白癬患者がいると推測している.仲らは2)爪白癬治療の現状と問題点として,患者総数に対して治療導入が不十分なこと,皮膚科以外で爪白癬の糸状菌検査を行わずに視診で治療を施行したために効果が不十分な症例が多いことを指摘し,高齢社会とともに爪白癬患者は潜在的に増加していることを指摘している.
加藤らは3),回復期リハビリテーション病棟における転倒予測因子の解析を行い,非転倒群136例と転倒群37例の比較の結果,睡眠薬[オッズ比5.4,95%信頼区間(CI)3.8~23.4],爪白癬群[同17.7(2.7~115.0)],転倒歴[11.4(1.9~68.1)],頻尿[29.1(5.4~158.0)]および麻痺[27.7(5.0~155.0)]が有意な因子であったとし,転倒の要因の一つに足爪白癬をあげ,足爪白癬の治療を行うことで転倒を予防できる可能性を示唆している.
『日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019』では,足爪白癬に対して内服薬のホスラブコナゾールはガイドラインAで強く推奨されている4).山下は5),75歳以上の足爪白癬49例に対してホスラブコナゾール12週内服で12ヵ月以上経過観察したところ69.6%の症例で治癒したとし,特に母趾の爪は歩行時に重要な役割を担い,爪の肥厚や剥離が転倒の原因になることをあげ,爪白癬の治療が高齢者の生活向上・維持のためにも必要であると強調している.
本稿ではホスラブコナゾール12週内服で足爪白癬の治療が奏効した1例を文献的考察とともに報告する.
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