外傷性頚部症候群（頚椎捻挫）の耳鳴り・めまいに対して漢方治療が奏効した1例

Successful treatment with Kampo medicine for the tinnitus, dizziness of whiplash associated disorder：report of a case

　頚椎捻挫は頚部症状のみならず種々の不定愁訴を伴うと，外傷性頚部症候群と呼称される．外傷のエネルギーにより骨あるいは軟部組織の損傷が生じた状態とされ，頚部の交感神経の刺激状態によって，頭痛，めまい，耳鳴り，視障害，嗄声などの自覚症状を主体とするものとされ，精神的・心理的影響を受けやすいとされる^1）．

　われわれは，井齋（サイエンス漢方処方研究会主宰）の書籍^2）に基づき漢方治療を施行しているが，本稿では外傷性頚部症候群で難渋する耳鳴り，めまいに対し，漢方エキス製剤を用いて著明な改善効果をみた1例を経験したため，文献的考察とともに報告する．