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連載 最新原著レビュー
急速な股関節破壊例における炎症および栄養評価に基づく感染のスクリーニング検査
Inflammation and nutrition based screening tests for detection of infection in cases of rapid hip destruction
安部 晃生
1
K. Abe
1
1横浜市立大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yokohama City University Graduate School of Medicine, Yokohama
キーワード:
rapidly destructive coxarthropathy
,
THA
,
infection
,
rapidly hip destruction
Keyword:
rapidly destructive coxarthropathy
,
THA
,
infection
,
rapidly hip destruction
pp.1209-1213
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1209
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【要 旨】
目 的:急速な股関節破壊例(rapidly hip destruction:RHD)において,感染症の術前診断は適切な治療のために重要である.そこで炎症および栄養マーカーを含む検査結果により,感染性および非感染性RHDを鑑別できるかを調査した.
対象および方法:2008年4月~2020年4月に発症から1年以内に人工股関節全置換術(THA)を施行された50例のRHD患者を対象とした.感染性RHDは,血清学的検査,細菌培養検査,病理学的検査において二つ以上の項目で陽性となったものと定義した.アルブミン/グロブリン比(AGR),CRP/アルブミン比(CAR),Glasgow予後スコア(GPS),修正Glasgow予後スコア(mGPS),予後栄養指数(PNI),老年栄養指数(GNRI),血小板/リンパ球比率(PLR)が血液検査結果から計算された.
結 果:感染群では,白血球数,血小板数,CRP値,赤沈,CAR,GPS,mGPS,PLRが有意に高く,アルブミン,AGR,PNI,GNRIが有意に低かった.感染性RHDの診断では,CRP値とアルブミンがもっとも高い感度(感度1.00,特異度0.87,0.73)を示した.これらを組み合わせたCARでは,特異度は0.92まで上昇した.
結 論:従来の炎症反応評価に加えて栄養評価を行うことで,感染性RHDの術前診断の精度を向上させることができる.
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