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は じ め に
脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)は脊椎や仙腸関節などの体軸関節および四肢の関節に炎症をきたす疾患群であり,強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS),X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(non-radiographic axial SpA:nr-axSpA),乾癬性関節炎(psoriatic arthritis:PsA),反応性関節炎(reactive arthritis:ReA),炎症性腸炎関連関節炎(inflammatory bowel disease associated arthritis:IBD-SpA),分類不能脊椎関節炎(undifferentiated spondyloarthritis:uSpA)を包括する疾患概念である.SpAは罹患する部位により体軸性脊椎関節炎(axial SpA:axSpA)と末梢性脊椎関節炎(peripheral SpA:pSpA)に大別され,axSpAとpSpAで薬剤の有効性が異なることが示されている.
近年,SpAに対するTNF阻害薬,IL-17阻害薬,IL-23阻害薬などの生物学的製剤の臨床応用により,SpAの多彩な病態形成のより深い理解がうながされてきた.今後もさらなる生物学的製剤・Janus kinase(JAK)阻害薬の開発により治療薬の選択肢はますます充実するであろうが,MRI検査を含む総合的な判断による早期診断,必要性のある症例への生物学的製剤導入,有害事象への対応など,適切な診療のためには多岐にわたる知識が必要である.
本稿では整形外科の日常診療においてもっとも頻度の高い症状ともいえる腰痛を主訴とする疾患であるaxSpAの診療に焦点をあてて概説する.
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