Japanese
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論説
頚部神経根症治療成績判定基準を用いて交通外傷による頚椎捻挫に対し後遺障害診断書を作成した症例の特徴
Features of sequelae diagnosis cases for cervical sprain by traffic injury:evaluation using twenty-point scale of cervical spondylotic radiculopathy
久保田 聡
1
,
久保田 亘
1
S. Kubota
1
,
W. Kubota
1
1久保田整形外科医院
1Kubota Orthopaedic Clinic, Hiratsuka
キーワード:
sequelae diagnosis
,
cervical sprain
,
traffic injury
Keyword:
sequelae diagnosis
,
cervical sprain
,
traffic injury
pp.925-929
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_925
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は じ め に
交通事故などの外傷によって発症する頚椎捻挫は,頚部が急激に伸展や屈曲の動きを強制されて生じる主に軟部組織の損傷である.わが国の交通事故によって生じた死傷者の損傷部位別の割合として,頚部がもっとも大きな割合を占めており,特に軽傷者では全体の61.2%を占めているため,頚椎捻挫は交通外傷の主要な外傷の一つである1).
交通外傷での頚椎捻挫に対しての治療方法は,薬物治療やリハビリテーションなどの保存的治療を施行することが多い.しかし,症状が遷延することで治療が長期化することがある.香川ら2)は,交通事故が受傷原因である患者は,転倒,転落,スポーツ外傷などが受傷原因である患者と比べて約2.5倍治療が長期化したと報告しており,第三者からの加害行為であるか否かで治療期間に有意差が認められている.また,治療期間が長期化することによって,症状固定時に後遺障害診断書を作成することがある.交通外傷による頚椎捻挫の予後予測因子として,受傷後の症状,受傷後の不安状態,補償問題のような要因があげられ3),頚椎捻挫の治療において後遺障害診断書を作成する症例の特徴を把握することは,治療方針を決定するためにも重要である.
われわれは,当院での交通外傷による頚椎捻挫の診断で,後遺障害診断書を作成した症例の特徴を検討した.
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