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【要 旨】
目 的:セメントレス単顆型人工膝関節(UKA)は,セメント使用UKAに比べ,固定性向上などの利点がある一方,脛骨骨折のリスクが特に日本人で高くなるといわれている.本多施設共同研究の目的は,日本人患者において脛骨の大きさと形状に基づいてセメントレス脛骨コンポーネントを安全に使用できる基準を示すことである.
対象および方法:6病院で施行されたセメントレスOxford UKA 174例212膝を対象とした.術前X線像で内側顆間隆起の先端を通り脛骨軸に平行なmedial intercondylar eminence line(MEL)が内側脛骨骨皮質の外側を通過するものが髄外(EM)型で,張り出した脛骨内側顆(very overhanging medial condyle:OMC)があり,内側を通過すれば髄内(IM)型でOMCがないものと分類した.また,サイズA/AAの脛骨コンポーネントを使用した脛骨は小サイズ,それ以外を通常サイズと分類した.
結 果:全体の骨折率は8%(212膝中17膝)であった.骨折率はOMCを呈するEM型で,また小サイズ(OR 7,p<0.001)で高かった.OMCか小サイズではORは21(p<0.001)であった.全体では,69%(147膝)がOMCでも小サイズでもなく,これらの患者の骨折率は1.4%(147膝中2膝)であった.男性は骨折率が1.5%(66膝中1膝)と女性より骨折リスクが有意に低かったが(OR=0.13,p=0.002),これは小サイズのものが含まれなかったためと考えられる.また女性はOMCであるものが多かった(OR=3,p=0.013).
結 論:日本人患者におけるセメントレスUKA後の脛骨プラトー骨折率は高い.術前のX線像から,AかAAの脛骨コンポーネントを必要とするか,MELがEM型でOMCをもつ日本人患者には,セメントによる脛骨固定を行うことが推奨される.これらを除いた残りの69%にはセメントレス固定が可能である.こうすることで骨折率を低下させることが期待できる.
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