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連載 最新原著レビュー
鏡視下肩関節制動術後の腋窩神経障害発生率
Incidence of axillary nerve injury after arthroscopic shoulder stabilization
濱田 博成
1
H. Hamada
1
1船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター肩関節・肘関節部門
1Sports Medicine and Joint Center, Funabashi Orthopaedic Hospital, Funabashi
キーワード:
axillary nerve injury
,
arthroscopic shoulder stabilization
,
capsular tear
,
humeral avulsion
,
glenohumeral ligament
Keyword:
axillary nerve injury
,
arthroscopic shoulder stabilization
,
capsular tear
,
humeral avulsion
,
glenohumeral ligament
pp.813-816
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_813
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【要 旨】
目 的:鏡視下肩関節制動術における腋窩神経障害の発生率とその特徴を調査すること.
対象および方法:本研究の対象は,2005~2017年に肩関節不安定症に対して鏡視下手術を行った症例のうち,烏口突起移行または骨移植を行った症例と術前から腋窩神経障害を認めた症例を除外した2,027肩[1,909(男性1,433,女性476)例,平均年齢32(13~81)歳]である.後ろ向きに腋窩神経障害の発生率とその臨床的特徴を調査した.また,術前MR関節造影画像で腋窩神経と関節包との最短距離を計測した.
結 果:術後腋窩神経障害は4肩(全例の0.2%)にみられた.内訳は,関節包断裂修復の2肩(160肩の1.2%),humeral avulsion of the glenohumeral ligament(HAGL)病変修復の1肩(47肩の2%),Bankart修復の1肩(1,941肩の0.05%)であった.関節包断裂またはHAGL病変を伴う症例で腋窩神経と関節包断端の最短距離は3.4±3.2mmであった.このうち腋窩神経障害を生じた3肩では最短距離が1mm未満であった.肩の違和感,術後可動域の回復遅延,三角筋の筋力低下と萎縮が共通の症候であった.再手術を行った3肩では関節包またはHAGL病変修復に用いた縫合糸によって神経が損傷されていた.
結 論:鏡視下肩関節制動術における腋窩神経障害はまれであるが,関節包またはHAGL病変修復では比較的頻度が高かった.これらの修復を行う際には,起こりうる合併症と認識する必要がある.
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