連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・4
腋窩隙─腋に走る縦のトンネル
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
pp.253
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200951
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腋窩とは,腋の下にある“縦のトンネル構造”のことです。生体でトンネルは見えませんが,手のひらを机などに押しつけると腋が窪んで,隠されていた下のトンネル出口が皮膚越しに現れます。これは胸郭側面と上腕の間で,その前面が大胸筋,後面は肩甲骨や広背筋によってふさがれた空間です。上のトンネル出口には僧帽筋が蓋のように覆い被さりますが,完全に閉じるのではなく頚椎側は開いています。そして頚椎から腕神経叢が,胸郭からは動脈が,ともにこの隙間から腋窩のトンネルへと入り込み上腕へと通過します。それゆえ,ここは重要な部位です。
腋窩の後壁には隙間が2か所開いており,腋窩隙といいます。腋窩隙の“窓枠”を構成する構造は立体的に組み合っているので,粘土で造形すると理解しやすいでしょう。
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