Japanese
English
連載 専門医のための症例問題トレーニング
神経・筋疾患(末梢神経麻痺を含む)
Neuromuscular disorder
西浦 康正
1
Y. Nishiura
1
1筑波大学附属病院土浦市地域臨床教育センター
1Tsuchiura Clinical Education and Training Center, Tsukuba University Hospital,Tsuchiura
キーワード:
complex regional pain syndrome
,
radius distal fracture
,
shoulder-hand syndrome
Keyword:
complex regional pain syndrome
,
radius distal fracture
,
shoulder-hand syndrome
pp.799-804
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_799
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症 例.71歳,女.
主 訴:右手の痛みと指の屈曲障害.
既往歴:特記すべきことはない.
現病歴:3ヵ月前に転倒し,手をついて受傷した.近医で橈骨遠位端骨折と診断され,徒手整復の後,ギプス固定と三角巾固定を受けた.6週間の外固定の後,リハビリテーションを開始した.通院治療を続けていたが,なかなか痛みが消失せず,指の動きがわるく手が使えないため当科を紹介され受診した.近医ではノイロトロピン(ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)と湿布を処方されていた.
初診時所見:右手には浮腫がみられた(図1).強い痛みが続いていたが,現在痛みは軽減しているものの残存しているとのことであった.指の自動運動で運動時痛があり,屈曲制限がみられた(図2).また,他動屈曲では痛みと可動域制限があり拘縮があるものと考えられたが,他動屈曲では弾力があり可動域の改善がみられた.骨折部に圧痛はなかった.手にしびれはなく,感覚は正常で,手根管入口部にTinel様徴候は認められなかった.可動域は手関節伸展52°,屈曲30°,前腕回旋回内72°,回外65°であった.
画像所見:近医での受傷後10週の手関節単純X線像を示す(図3).
© Nankodo Co., Ltd., 2022