Japanese
English
特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅰ.X線検査
3.整形外科疾患におけるトモシンセシス
Usefulness of digital tomosynthesis for orthopedics
大野 秀一郎
1
S. Ohno
1
1おおの整形外科・せぼねクリニック
1Ohno Orthopedics and Spine Clinic, Hamamatsu
キーワード:
digital tomosynthesis
,
tomography
,
flat panel detector
,
high definition
Keyword:
digital tomosynthesis
,
tomography
,
flat panel detector
,
high definition
pp.512-520
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_512
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は じ め に
近年,トモシンセシス撮影は,整形外科診療のいろいろな場面で利用され,有用性が報告されている.舟状骨骨折の確定診断1),肘頭骨折術後の骨癒合評価2),また四肢偽関節・変形治癒に対する仮骨延長術の術前後の病態・仮骨評価3),人工股関節ポーラス面の生物学的固着状態の評価4)における報告があり,整形外科領域におけるトモシンセシス撮影の有用性は高まっている.
低被曝,高分解能,高画質のX線デジタル・マルチ断層撮影技術であるトモシンセシスは,フラットパネル検出器の実用化に伴い,実用的な装置が2004年ごろから開発されてきている.トモシンセシス撮影装置には,X線透視撮影装置をベースとしたものと,単純X線撮影装置をベースとしたものの2種類が開発され存在する.それぞれ長所と短所があるが,筆者は総合病院勤務時代より,前者のX線透視撮影装置SONIALVISION safire17(島津製作所社,京都)を脊椎脊髄外科の分野に活用し,トモシンセシスによる後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF)後の移植骨の骨癒合評価への臨床研究とその有用性の報告5)を行った.その後,クリニック開業を契機に同装置を導入し,骨折外傷を中心にさまざまな整形外科疾患に対してトモシンセシスを活用,応用し,その有用性について検討6)してきた.本稿では症例を提示し,その有用性と可能性について述べる.
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