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人工膝関節全置換術における術中トラネキサム酸静脈内・関節腔内併用投与への術後同剤静脈内反復投与の追加
Intraoperative intravenous and intra-articular plus postoperative intravenous tranexamic acid in total knee arthroplasty:a placebo-controlled randomized controlled trial
塚田 幸行
1
S. Tsukada
1
1北水会記念病院人工膝関節センター
1Dept. of Adult Knee Reconstruction, Hokusuikai Kinen Hospital, Mito
キーワード:
knee
,
blood loss
,
transfusion
Keyword:
knee
,
blood loss
,
transfusion
pp.186-188
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_186
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【要 旨】
目 的:人工膝関節全置換術(TKA)の手術中にトラネキサム酸の静脈内と関節腔内の併用投与を行うことにより周術期の総出血量が低減することが報告されている.この術中投与に加え,術後に静脈内反復投与を行うことで出血量がさらに減少するか検討した.
対象および方法:TKAを予定した100例の患者を対象とした.除外基準はトラネキサム酸にアレルギーがある患者のみとし,心疾患,脳血管疾患,深部静脈血栓症などの既往がある血栓性合併症の高リスク患者は除外しなかった.全例で空気止血帯は使用せず,執刀直前にトラネキサム酸1,000mgを静脈内投与し,閉創時にトラネキサム酸1,000mgを関節腔内投与した.無作為割り付けにより,術後にトラネキサム酸静脈内反復投与を受ける群と生理食塩水投与を受ける群に患者を分けた.主要評価項目は患者の循環血液量と術後3日目と術前のヘモグロビン値から算出した総出血量である.研究開始前に研究デザインを臨床試験登録し公開した.
結 果:トラネキサム酸群とプラセボ群において総出血量に差はなかった(578±229ml vs. 640±276ml,95%信頼区間−40~163ml,p=0.23).
結 論:術中のトラネキサム酸静脈内・関節腔内併用投与に術後のトラネキサム酸静脈内反復投与を追加しても総出血量のさらなる低減は得られなかった.
© Nankodo Co., Ltd., 2022