橈骨遠位端骨折患者と上腕骨骨折患者における受傷前活動性の違い

Difference of physical activity between patients with distal radius fracture and patients with humeral fracture

は じ め に

　橈骨遠位端骨折（distal radius fracture：DRF）や上腕骨骨折（humerus fracture：HF）は大腿骨近位部骨折（proximal femur fracture：PFF）とともに骨粗鬆症を基盤にもつ高齢者に多く発生するが，これらの骨折には好発年齢に違いがある^1）．DRFは女性では60歳代前半から発生率が上昇し，60～69歳をピークに70歳以後発生率は低下するのに対し，上腕骨近位部骨折（proximal humerus fracture：PHF）はPFFと同様に年齢の上昇とともに発生率が増加する^1）．これら患者背景の違いは年齢による身体能力の低下が関係していると推察される．Kelseyらは，PHFは活動性が低く虚弱な人に多く発生し，比較的健康的な人にDRFは多いと報告している^2）．本研究の目的はDRFとHFを受傷した患者の活動性の違いについて調査することである．