誌説
接触のない医学教育は可能か?
内山 善康
1
1東海大学整形外科学教授
pp.104-104
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_104
- 有料閲覧
- 文献概要
2020年1月,中国から発生した不明ウイルス感染症(COVID-19)が世界を席巻した.日本でも2020年4月には緊急事態宣言が発令され,街からは人が消え,夜間の飲食も禁止となり,人と人との接触は原則禁止となった.当大学医学部においても例外ではなく,対面授業,学生実習,クリニカルクラークシップなどはなくなり,オンラインが中心の授業体制となった.「人を診る」=「人を触る」ことが仕事のはずのわれわれ医師は,ソーシャルディスタンスをとり診療するといった今まで経験したことがない世界が突然出現し,その混沌としたなかで学生を指導することになった.医学部授業には実習が必須であり,これを「接触するな」といわれて頭を抱える講師陣.学生側も大変であるが,起きていることすべてが過去の価値観を壊さねば対応が不可能.こんな世界に身を置く日がくるとは想像もしていなかった.
© Nankodo Co., Ltd., 2022