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は じ め に
わが国において尿管結石粉砕などの治療に用いられる体外衝撃波療法は,整形外科領域では1991年に骨折後の偽関節治療に対するValchanouらの報告1)が始まりといわれている.体外衝撃波治療機器には,エネルギー集束型体外衝撃波(focused shock wave therapy:FSW)とエネルギー拡散型圧力波(radial pressure wave therapy:RPW)がある.わが国におけるFSWは,衝撃波の発生や集束が,より効率的かつ安定している電磁誘導方式を採用している.一方,RPWの発生装置は,空気圧式で圧縮空気によって発射体を飛ばし圧力波を発生させる方式である.わが国では,2008年にFSWが疼痛治療装置として医療機器の承認を受け,2012年から医療保険適用となり,主にスポーツ外傷・障害を中心に整形外科領域で普及してきた.FSWはクラスⅢ医療機器であり,使用にあたっては医師限定と制約があるのに対し,RPWはクラスⅡ医療機器であり,理学療法士が直接治療手段として用いることが可能である.RPWは,エネルギーが放射状に放出するため,深部へ到達せず皮膚表層部分で最大となる.よって,表層の腱や筋膜の消炎鎮痛処置など低エネルギーな治療に用いられている.RPWはFSWに比べ廉価であり,近年,整形外科領域のクリニックなどで導入され,医師の指示のもと理学療法士が疼痛治療目的で用いている.
わが国での体外衝撃波治療に関する報告はFSWに関するものが多く,その有効性を示すものが散見される.RPWはFSWと同等の効果を示す報告2,3)もあるが,わが国でのRPWの効果に関する報告は少なく,その効果は対象疾患によって賛否両論あり,いまだ一定の見解を示していないのが現状である.
本研究の目的は,畠山整形外科スポーツクリニックで処方されたRPWの疼痛改善効果を疾患別に検証することである.
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