Japanese
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臨床室
ステムの前捻が術後早期に変化した1例
Stem antetorsion changed early after total hip arthroplasty:report of a case
久留 隆史
1
T. Hisatome
1
1板橋中央総合病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Itabashi Chuo Medical Center, Tokyo
キーワード:
adjustment of stem antetorsion
,
modular neck stem
,
THA
Keyword:
adjustment of stem antetorsion
,
modular neck stem
,
THA
pp.34-38
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_34
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わが国では発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)を背景とした変形性股関節症に対して,人工股関節全置換術(THA)を行うことが多い.大腿骨の前捻について,Nobleらは正常例では平均35.6°±13.7°であるのに対して,DDH例では平均42.3°±16.0°と前捻角が大きいことを報告している1).DDH例の大腿骨側の特徴として大腿骨頚部前捻角に大きくバリエーションを有することが知られており,過大前捻・過小前捻例に対するステム選択に悩むことがある.
一般的に0°~50°程度のステムの過大・過小前捻例に対しては,カップ前方開角の増減もしくはチェンジャブルタイプのステムで対処することが多いが,その調整範囲を超えた前捻に対してはモジュラータイプのステムで調整することが必要となる.しかしながら,過剰な調整は下肢のアライメントに影響を及ぼすことが考えられるが,その是非については明らかではない.
本例はせん妄による予期せぬ転倒を繰り返し,術後早期にステムの前捻が変化した症例である.本例を治療することで,ステムの前捻調整が及ぼす下肢アライメント変化について学んだため考察を加えて報告する.
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