中高齢者の変形性膝関節症に対する調査 -――エクオール摂取の効果

Effect of equol intake for elder knee osteoarthritis patients

は じ め に

　エクオールは，大豆イソフラボンのなかのダイゼインが腸内細菌によって代謝を受けて生成される成分^1）である．また，エクオール産生者の割合は人種によって異なり，欧米人が20～30％であるのに対して，日本人のエクオール産生者は約50％とされる^2）．特にわが国においては，若年層での産生者の低下が示唆されている^3）．

　エクオールにはエストロゲンと似た働きをする成分が含まれており，女性ホルモンに似た働きをするエストロゲン作用およびエストロゲンが過剰なときにその作用をおさえる抗エストロゲン作用^4），男性ホルモン（アンドロゲン）の働きをおさえる抗アンドロゲン作用^5），抗酸化作用^6）があるとされる．また，エストロゲン類似作用は大豆イソフラボンより強く，細胞のエストロゲン受容体に入り込むことで作用する．さらに，エストロゲン過剰状態の閉経前は受容体に結合することにより抗エストロゲン作用を示し，エストロゲンが不足している閉経後は受容体を介して弱いエストロゲン作用を示すとされている^7）．

　本研究に使用したエクオール含有食品（エクエル：大塚製薬，東京）の作用としては，閉経後女性に対する骨密度低下抑制効果，ほてりなど更年期症状の軽減効果^8），しわの軽減など美肌効果^9），生活習慣病（動脈硬化など）に対する軽減効果^10）などの報告が示されている．

　本研究の目的は，近年骨粗鬆症やHeberden結節など整形外科疾患に対する効果が報告されているエクオールのエストロゲン類似作用により，中高齢者の膝関節症状を改善する効果があるか否かを検討することである．