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連載 卒後研修講座
セメントレスTKAの基本と歴史
Basics and history of cementless TKA
難波 良文
1
Y. Namba
1
1川崎医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kawasaki Medical School, Kurashiki
キーワード:
cementless TKA
,
metalbacked patella
,
bone ingrowth
Keyword:
cementless TKA
,
metalbacked patella
,
bone ingrowth
pp.1383-1391
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1383
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は じ め に
1960年代に,Charnleyが骨とインプラントとの間に骨セメント(polymethylmethacrylate:PMMA)を充塡させたことによって,人工股関節全置換術(THA)はそれまでに比して飛躍的な進歩をとげた.しかしながら,カップ側は早期に弛みが生じやすく,近年では一部の術者を除いてカップ側に骨セメントが使われることはほとんどなくなった.すなわち,骨と直接結合することで長期の固定性を担保することができるセメントレスTHAが現在の主流である.
一方,膝の場合はセメントTKA(人工膝関節全置換術)が現在の主流である(図1).確かに,初期のセメントレスTKAの多くは成績がわるかったが,その失敗の原因のほとんどはセメントレス固定に起因するものではない.その後の先人たちのたゆまぬ努力,知識の蓄積,インプラントの素材やデザインの改良によって,セメントレスTKAの成績は,近年著しく改善・安定した1,2).20年の長期成績でも,Buechelらは99.4%,Ritterらは98.3%と驚異的な生存率の報告をしている3,4).
さて,日本では人生100年時代といわれるようになった.今後,セメントレスTKAを選択するべき症例が増加すると予想される.そこで,セメントレスTKAについて,知っておくべき歴史,基本的事項を中心に紹介する.
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