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特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅶ.最新研究紹介
6.リアルワールドデータ活用の本邦における取り組みと国際的な動向
Use of real world data for regulatory purpose;international discussion and Japanese perspective
半田 宣弘
1
,
小林 陽子
2
N. Handa
1
,
Y. Kobayashi
2
1医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部
2医薬品医療機器総合機構医療機器審査第二部
1Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, Tokyo
キーワード:
registry
,
International Medical Device Regulators Forum
,
Clinical Innovation Network Project
,
real world evidence
Keyword:
registry
,
International Medical Device Regulators Forum
,
Clinical Innovation Network Project
,
real world evidence
pp.739-743
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_739
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は じ め に
医薬品医療機器などを開発するにあたり臨床評価が必要と判断された場合,Good Clinical Practice(GCP)に準拠した臨床試験(本邦の薬事申請に必要な臨床試験は治験と呼ばれる)の実施が求められる.しかしながらGCP準拠の臨床試験の実施には,煩雑な手続きと高いコストが必要であることが大きな問題であるとの指摘がある.
一方,臨床試験のデザインとしては前向きの無作為化比較臨床試験(RCT)がゴールドスタンダードであり,特に薬剤開発では二重盲検が求められてきた.しかし,RCTには厳密な選択・除外基準が設定されるため,必ずしも試験の結果をすべての対象者にあてはめる一般化可能性があるとはいえない.また,プラセボ投与群や無治療群を対照として設定する場合には倫理的な問題も発生することがある.
このような現状をふまえ,医療現場で実施されている実臨床のデータ,いわゆるリアルワールドデータを積極的に活用し,そこからエビデンスを導き出して医薬品医療機器などの有効性・安全性を評価し,薬事申請や市販後の安全対策に活用する可能性について国際的に議論されている.いわゆるリアルワールドデータとして定義されるものの中には,医療従事者が登録する患者レジストリ,保険償還レセプトデータ,DPCデータ,電子カルテ,さらにモバイル医療機器のデータなども含まれる1).このうち医療従事者が構築する患者レジストリについて,製造販売申請および市販後の使用成績評価に用いられるための要件について検討が行われている.
© Nankodo Co., Ltd., 2020