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特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅴ章.整形外科領域別の医療安全トピックス/症例レジストリに基づいた合併症
5.症例レジストリからみた骨・軟部腫瘍手術の合併症
Postoperative complications following musculoskeletal tumor surgery:registry-based approach
小倉 浩一
1
,
森井 健司
2
,
川井 章
1
K. Ogura
1
,
T. Morii
2
,
A. Kawai
1
1国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科
2杏林大学整形外科
1Dept. of Musculoskeletal Oncology and Rehabilitation, National Cancer Center Hospital, Tokyo
キーワード:
musculoskeletal tumor
,
complications
,
registry
,
big data
Keyword:
musculoskeletal tumor
,
complications
,
registry
,
big data
pp.673-677
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_673
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は じ め に
さまざまな医療事故に関する報告が嚆矢となり,現代の医療では医療安全の重要性が広く認識されている.また,このような社会的な意識の変化から,われわれ医療従事者のみならず,患者側も医療の質について大きな関心をもつ時代となり,医療の質に関するさまざまな情報の提供が求められている.したがって,客観的な指標を活用して医療の質を評価する必要があり,米国においては客観的に評価できる医療の質の一つとして,特に外科手術に焦点をあて,米国外科学会(American College of Surgeons:ACS)が主導して手術の質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program:NSQIP)が開始された.
わが国では2010年4月に日本外科学会を基盤とする関連学会の協働のもと,National Clinical Database(NCD)が設立され,専門医制度への活用のほか,わが国の医療の質の評価やベンチマーキング(施設間指標比較)に収集データが利用されている.
本稿ではまず,NSQIPやNCDによる医療の質改善についての先進的な取り組みについて紹介する.次に整形外科領域の医療の質改善についての取り組みの現状を述べ,最後にわれわれがビッグデータを用いて行った骨・軟部腫瘍における合併症の評価についての研究を紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2024