Japanese
English
臨床室
ドセタキセルが投与された大腿切断術後悪性軟部腫瘍患者において誘発された幻肢痛に対しプレガバリンが有効であった1例
Phantom limb pain treated successfully with pregabalin:patient with soft tissue tumor treated docetaxel post amputation;report of a case
菅原 佳音
1
,
二瓶 哲
1
,
多田 広志
2
,
佐藤 文彦
1
,
土井田 稔
2
,
工藤 賢三
1
K. Sugawara
1
,
S. Nihei
1
,
H. Tada
2
,
H. Sato
1
,
M. Doita
2
,
K. Kudo
1
1岩手医科大学附属病院薬剤部
2岩手医科大学整形外科
1Dept. of Pharmacy, Iwate Medical University, Iwate
キーワード:
phantom limb pain
,
pregabalin
,
docetaxel
,
limb amputation
Keyword:
phantom limb pain
,
pregabalin
,
docetaxel
,
limb amputation
pp.339-342
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_339
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軟部腫瘍とは,非上皮組織由来の腫瘍のうち血液・リンパ系などの造血器と骨を除く軟部組織から発生する腫瘍の総称であり,全身のあらゆる部位に発生する.悪性軟部腫瘍に対し,手術の適応がある場合,根治目的に手術単独もしくは手術と薬物治療や放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われる.
悪性軟部腫瘍に対する手術的治療の基本は,腫瘍を周囲の正常組織とともに一塊として切除する広範切除となる.症例に応じて四肢切断術を施行することがあるが,その有害事象として幻肢痛が発現することがある.幻肢痛とは失った四肢が存在するような錯覚に合併する病的疼痛のことを指し,四肢切断者の50~80%に発症することが報告されている1).幻肢痛は,その発症機序についていまだ明らかにされていないが,脊髄中枢神経の変化や末梢神経の損傷により引き起こされることが示唆されている2~4).また,軟部肉腫に対しては,アドリアマイシン(adriamycin:ADM),イホスファミド(ifosfamide:IFM),ゲムシタビン(gemcitabine:GEM),ドセタキセル(docetaxel:DTX)などを含む化学療法が行われることもあるが,それが幻肢痛を引き起こす要因の一つになる可能性も報告されている5~7).
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