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【要 旨】
目 的:体幹に荷重をかけて行う荷重MRIは従来のMRIに比べて,腰部脊柱管の大きさが有意に減少し,臨床症状に相関した画像所見が得られる.しかし腰椎変性すべり症においては,荷重によるすべりの変化と臨床症状の関係について検討した報告はない.本研究の目的は,腰椎変性すべり症において荷重MRIを用い,荷重によるすべり・脊柱管狭窄の動的変化を評価し,臨床症状との関係を検討することである.
対象および方法:腰椎変性すべり症の41例を対象とした.荷重装置DynaWell L-Spine(DynaWell Diagnostics, Las Vegas)を用い,非荷重時と荷重時の腰椎MRIを撮像した.非荷重・荷重時のMRIで,前方すべりの大きさと硬膜管断面積を計測し,荷重前後のすべりの変化量と硬膜管断面積の変化量の相関を検定した.荷重前後ですべりが2mm以上増大する例を荷重不安定群,2mm未満の例を荷重安定群とした.両群間で荷重前後の硬膜管断面積の変化量および臨床症状の重症度を比較・検討した.
結 果:腰椎への荷重によって,すべりが増大するほど,脊柱管狭窄が悪化する傾向にあり,両者が有意に相関することがわかった.荷重安定群に比べて荷重不安定群では,荷重時に硬膜管断面積が有意に減少した.さらに荷重不安定群は間欠跛行の距離が有意に短かく,日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア)の自覚症状の歩行能力,日常生活動作(ADL)も有意に低かった.
結 論:腰椎変性すべり症においては,退行変性による静的な脊柱管狭窄のみならず,荷重による動的なすべりの増大が狭窄を増強させて,臨床症状を悪化させると考えられた.
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