さまざまな脊柱変形の診断と治療

Management of various spinal deformities

は じ め に

　脊柱変形とは，なんらかの原因で頚椎，胸椎と腰椎の冠状面および矢状面のアライメント異常から起こるあらゆる病態を含んでいる．乳幼児から成人にいたるまで幅広い年代にわたりさまざまな脊柱変形がある．2016年度の学校保健安全法施行規則の改正に伴い，学校健診で側弯症が疑われて医療機関を受診する患者が増えたことで，日常診療で側弯症患者に遭遇する機会も増えている．また，超高齢化社会に突入したわが国においては，骨粗鬆症を背景にした成人期における脊柱変形やアライメント異常を診察する機会も増えているが，治療においてはまだまだ課題が多い．

　本稿では，小児から成人にいたるまで，さまざまな脊柱変形の診断と治療について概説する．特発性側弯症に対する診断と治療の理解がさまざまな脊柱変形の治療をするための基礎となるため，特発性側弯症の治療を重点的に解説し，その他の代表的な脊柱変形に関しては，各病態，疾患の特徴を中心に解説する．