Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
背 景:近年,欧米では腱板断裂や原発性変形性肩関節症(OA)に関連する因子の一つとしてcritical shoulder angle(CSA)が注目されている.一方,アジア人で評価した報告はなく関連は明らかでない.本研究では,東アジア人のCSAを計測し,腱板断裂やOAの発症にCSAが関連するかを調査した.
目 的:当院を初診した50歳以上の肩痛を有する患者を対象とした.単純X線正面像を用いて肩甲骨関節窩の上縁と下縁を結んだ線と肩甲骨関節窩下縁と肩峰外側縁を結んだ線でなす角をCSAとして計測した.腱板断裂の有無はMRIもしくは超音波検査で評価し,OAはSamilson-Prieto分類に従い評価した.腱板断裂患者,OA患者,またはそれ以外の患者におけるCSAを比較し,対象患者の性別,身長,体重,喫煙歴を調査して多変量解析を行った.
結 果:50歳以上の肩疾患患者347例のうち画像評価ができた295例を対象とした.その内訳は腱板断裂群が112例(平均年齢70±8.7歳),OA群が50例(平均年齢68±9.4歳)であった.平均CSAは腱板断裂群で33.9°±4.1°,非腱板断裂群で32.3°±4.5°であった.多変量解析では,腱板断裂はCSAが大きいほど有意に増加し(相対危険度1°あたり1.08,p=0.014),また年齢が上がるにつれ有意に増加した(相対危険度10歳あたり1.95,p<0.001).一方,OAとCSAには有意な関連はなかった.
結 論:腱板断裂群は非腱板断裂群に比べ有意にCSAが大きかった.CSAが大きいことが東アジア人である日本人においても腱板断裂の危険因子であると考えられた.
© Nankodo Co., Ltd., 2019