小児上腕骨顆上骨折に対する外側法，内外側法，後方外側法による鋼線固定の比較

Comparison of three fixation methods for supracondylar humeral fracture in children

は じ め に

　小児上腕骨顆上骨折に対する鋼線固定法は，外側刺入法，内外側刺入法に加え，後方の骨折部位から鋼線を挿入し，整復してそのまま固定する方法（intrafocal法）などが報告されている^1,2）．術後の評価については，Baumann角やcarrying angleがX線正面像の評価に用いられ，側面像については骨折部の突出像（anterior spike）の発生や上腕骨長軸と外顆長軸のなす角（tilting angle）が用いられてきた^3）．しかし，anterior spikeの判定は検者の主観に左右される．またtilting angleは骨端核が未発達の場合は角度の測定がむずかしいことが欠点である．

　われわれは，X線側面像で上腕骨の骨軸前縁に引いた線（anterior humeral line）に着目した^4）．Anterior humeral lineは小児上腕骨顆上骨折における整復指標として用いられており，正常小児ではこの線の延長上を骨端核が通るとされる^4～6）．今回，上腕骨小頭からanterior humeral lineまでの距離を評価法として用い，3つの鋼線固定法に対する矯正損失の検討を行った．