Dual mobility人工股関節による人工股関節術後不安定症の治療

Dual mobility total hip arthroplasty for treatment of unstable hip arthroplasty

は じ め に

　大腿骨人工骨頭置換術（BHA），人工股関節全置換術（THA）後の脱臼や不安定症は，弛み，骨溶解に次ぎ再置換の3番目の原因となる重大な合併症である^1）．さらに，再置換後も再脱臼率，要再々置換術の15年累積危険率はそれぞれ34.5％，45.9％と高く，満足のいくものではない^2）．Bousquetら^3）の報告したdual mobility人工股関節（DM-THA）は，寛骨臼シェルとポリエチレンベアリング，ポリエチレンベアリングと骨頭の二つの摺動面を有するインプラントである．ポリエチレンベアリングが事実上の外骨頭として機能するため骨頭-頚部比の増大効果があり，従来のTHAに比し可動域の拡大と脱臼抵抗性が得られる．

　われわれは人工股関節不安定症に対しDM-THAで治療を行い良好な短期成績を得たので報告する．