Japanese
English
論説
ビスホスホネートとデノスマブにおける投与1年後の大腿骨近位部骨密度の違い
The difference between the change of bone mineral density at different part in the proximal femur after 1 year administration of bisphosphonate and denosmab
今井 教雄
1
,
須田 健
2
,
宮坂 大
3
,
遠藤 直人
3
N. Imai
1
,
K. Suda
2
,
D. Miyasaka
3
,
N. Endo
3
1新潟大学大学院地域医療長寿学講座
2新潟県立新発田病院整形外科
3新潟大学大学院整形外科
1Dept. of Comprehensive Geriatrics in Community, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata
キーワード:
osteoporosis
,
bisphosphonate
,
denosmab
Keyword:
osteoporosis
,
bisphosphonate
,
denosmab
pp.793-797
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_793
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は じ め に
加齢とともに骨量(骨密度)は減少し,その70%は皮質骨で生じると報告されている1).皮質骨内のリモデリング亢進は多孔性の増加を招き,それにより骨強度は低下し1),最終的に骨皮質の劣化は大腿骨近位部骨折発生に大きく影響する2).
大腿骨近位部骨折はひとたび受傷すると急激な身体機能の低下をきたし,また生命予後も不良であるため3~6),近年では心筋梗塞や脳梗塞のような「発作」に例えられ,「hip attack(骨卒中)」とも言われており7),筆者らは骨粗鬆症(性骨折)の最悪の転帰と考えている8).
大腿骨近位部骨折の発生状況に関して,欧米では2000年ごろを境に発生率が減少に転じている地域が散見されるにもかかわらず,わが国をはじめとしたアジアでは依然増加傾向であると報告されている8,9).Orimoら10)はわが国の大腿骨近位部骨折数は2012年現在,年間約18万例生じており,5年で約20%ずつ骨折数は増加していると報告している.そのため,大腿骨近位部骨折の発生を減少させることはわれわれ整形外科医にとっては喫緊の課題である.
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」において,大腿骨近位部骨折抑制効果でグレードA(骨折を抑制するというエビデンスがある)の評価を得たものはビスホスホネート(BPs)の一部とデノスマブ(Dmab)のみであった.
本研究の目的は,初回導入されたBPs群とDmab群において投与1年後の大腿骨近位部における部位別(頚部,大転子部,全近位部)骨密度変化を後方視的に比較することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018