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特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅵ.びまん性特発性骨増殖症
1.非骨化症患者にみられる胸椎黄色靱帯骨化症の頻度と研究手法
Prevalence of thoracic ossification of ligamentum flavum using chest CT data in patients with pulmonary disease.
森 幹士
1
K. Mori
1
1滋賀医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Shiga University of Medical Science, Otsu
キーワード:
OLF
,
OYL
,
CT
,
prevalence
,
classification
Keyword:
OLF
,
OYL
,
CT
,
prevalence
,
classification
pp.667-671
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_667
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は じ め に
黄色靱帯骨化症(OLF)は,Polgar1)によりはじめて報告された.黄色靱帯が骨組織により置換され,脊髄を圧迫することにより脊髄症をきたす難病である.OLFは東アジア人に多い,胸椎に好発するなどと報告されている2)が,疫学については不明な点も多く残されている.
OLFの好発部位である胸椎は,肩や肋骨が重なるという解剖学的特徴から,特に上位胸椎においては単純X線像による評価には限界がある.一方,CTは解剖学的な制限を受けることなく骨化病変を詳細に描出することが可能であり,水平断像,矢状断像,冠状断像などの再構築画像処理も可能な優れたモダリティーである.しかし,CTには単純X線像と比べると被検者の被曝量が増えるという欠点がある.近年,放射線被曝に対する意識の高まりもあり,有病率の調査方法として一般的である住民検診などへのCT導入は倫理面からもむずかしい.
われわれは,撮影済みの胸部CTデータを用いることで,被験者に新たな放射線被曝を強いることなく日本人胸椎OLFの分布や罹患形態,有病率などについて詳細に調査・報告し3),本誌でもこの論文についてレビューしている4).本稿では,その結果や研究手法について述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2018