病院のクオレ
第12話 拝啓 知事様,市長様
原 素行
1,2
1病院管理研究所
2元 広尾病院
pp.57
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205501
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近来,各地に公立病院が建られ,医療福祉の展開はまことに喜ばしい現象である.病院がそれぞれ地域医療の進展に寄与し,その価値を認めない人はあるまい,病院は,公私の別なく社会の共同体として重要であることはいうまでもない.また,病院に関するフィロソフィーがようやく変わり,医療が公衆衛生の範畴とされ,病院はしたがって,Center of Healthと考えはじめられてからすでに10数年を閲した.
病院が地域社会の共同体のひとつとして重視されているとき,すべての住民がこれを利用することができる立場におかれているはずである.一方,社会保険が国策となってその利用者が著しく増加するに至ったが,病院の財政がこれに伴わず,その運営が危ぶまれている.そのため,病院は経営上差額ベッドを増加させる傾向を見のがすことができない.そして社会問題として注目されるに至った.端的にいえば,庶民の入院が阻まれる.私的病院ならばいざ知らず,公立病院の開設者にこの点についてご配慮を願いたい.
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