特別寄稿
拝啓日本助産婦会会長殿
鈴木 せい子
1
1鈴木助産院
pp.850-855
発行日 1987年10月25日
Published Date 1987/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207237
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ご面識をいただいておりません私が突然このようなお手紙を差し上げる失礼をお許し下さいませ。会長には,山積された難問題をかかえて,私どものために昼夜奔走されていることと存じます。そのご苦労を思うと,ただただ頭の下がる思いです。私は40歳,開業して4年のまだ駆け出しの開業助産婦です。地球よりも何よりも重い生命。そのかけがえのない生命を創造するという素晴らしいドラマに関わることができる幸せを実感し,日々充実した思いで仕事に励んでいます。そして生命の尊厳と,その価値を教え導くという重大な役割を担う助産婦という職業に誇りを持っています。生命誕生のクライマックスの場面ては自然の巧みさ,生命力の強さと輝き,人間のぬくもりに触れながら感動に胸が高まります。保健婦から転身して10年,やっと最近になって助産婦職の何たるかが分かりかけてきたような気がします。そして,自分で判断した大きな人生の選択に少しずつ自信が持てるようになってきました。
開業助産婦は,常に住民の側に立ち,母と子の,そして家族の幸せのために活躍してきました。先輩たちの築かれた足跡の偉大さを日々かみしめています。また,地域に根ざした開業助産婦の活動は,看護職の「開業権」という点で,きわめて大きな意義をもっています。そして,その歩みを今度は私たちが継承する立場にあります。
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