Japanese
English
臨床室
腰椎黄色靱帯内血腫の3例
Lumbar ligamentum flavum hematoma;report of 3 cases
小栗 雄介
1
,
山上 貴也
2
,
渡邊 宣之
2
,
相良 学爾
2
,
小林 真
2
,
櫻井 公也
2
Y. Oguri
1
,
T. Yamagami
2
,
N. Watanabe
2
,
G. Sagara
2
,
M. Kobayashi
2
,
K. Sakurai
2
1名古屋市立大学整形外科
2公立陶生病院整形外科
1Nagoya City University, Graduate School of Medical Sciences, Dept. of Orthop. Surg., Nagoya
キーワード:
hematoma
,
lumbar
,
ligamentum flavum
Keyword:
hematoma
,
lumbar
,
ligamentum flavum
pp.1271-1274
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1271
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腰椎黄色靱帯内血腫は比較的まれな疾患である.MRIの導入とともに近年その報告が散見されるようになってきた.同疾患はさまざまな臨床経過や画像所見を示すため,術前の診断に難渋する.われわれは2011~2014年の4年間で3例の腰椎黄色靱帯内血腫を経験した.最初の1例は術前の鑑別診断としてあげることができなかったが,その後の2例は本疾患に留意することにより,術前の診断に難渋するも鑑別診断として同疾患をあげることができた.全例に対して手術的治療を行い病理検査で確定診断し,結果は良好であった.代表例を提示し文献的考察を加え報告する.
3例とも高齢男性[75~78(平均76.7)歳]であり,症例2のみ抗血小板薬を服用し,血腫発生高位の変性すべりがあり不安定性があった.全例下位腰椎での発生であった.全例で外傷などの明らかな誘因はなかった.2例に先行する腰痛があり,その後下肢の症状が出現した.1例は腰痛と下肢痛が同時期に急性発症した.手術にいたるまでの経過は急性から慢性までさまざまであった.患者背景と手術までの経過を表1に示す.MRIでは,T1強調画像(T1w)は等信号~高信号を示し,T2強調画像(T2w)はさまざまな輝度変化を示した.各症例の術前のMRI T2w水平断像を図1に示す.全例保存的治療に抵抗したため手術を施行し,症状は著明に改善した.術前・術後の日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア)は表1のように改善した.
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