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高カリウム血症の今昔
1 かつての高カリウム血症の治療戦略
高カリウム血症は,腎臓内科のみならず一般臨床医にとっても日常的に遭遇する重要な病態です.血清K値の上昇は,致死的な不整脈を引き起こすリスクがあるため,迅速かつ適切な対応が求められます.高カリウム血症の治療はまずは心電図などから緊急性を判断し,緊急症例では,Ca製剤による心筋細胞膜の安定化,インスリンや重炭酸による細胞内シフトの促進,利尿薬や緊急透析による体外排泄促進,が基本です.このなかで,従来の陽イオン交換樹脂であるポリスチレンスルホン酸(PSS)製剤(本邦ではポリスチレンスルホン酸ナトリウムやポリスチレンスルホン酸カルシウム)は,その効果発現が緩徐であり,緊急時の初期対応としては不十分であるとされました1).さらに,PSS製剤には便秘などの消化器症状の発生頻度が高いことに加え,腸管虚血・壊死といった重篤な合併症のリスクも指摘されていました2).このため,高度な心電図変化を伴う高カリウム血症の治療選択肢となることは少なかったです.この時期,K吸着薬は,慢性期管理または緊急治療後の維持療法という位置づけに留まっていました.
2 新規K吸着薬の登場と位置づけの変化
2010年代以降,新規K吸着薬として,非ポリマー無機陽イオン交換化合物であるジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(SZC,商品名:ロケルマ)や非吸収性陽イオン吸着ポリマーであるパチロマーソルビテクスカルシウム(PSC,商品名:ビルタサ)が登場しました.これらの新規薬剤は,消化器系の副作用が従来製剤より少なく,忍容性に優れることに加え,とくにSZCは,初回投与後数時間から血清K値の低下が認められるなど,その迅速な効果が示され3),重炭酸イオン濃度の上昇も報告されました4).これらの特性により,SZCは,従来のPSS製剤とは一線を画し,緊急透析が検討されるような重症高カリウム血症に対する非透析的治療の新たな選択肢として検討されるようになりました.

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