特集 内科医に知ってもらいたい シン・腎臓診療
[Chapter 2] 定説を覆す! 腎臓内科のシン・常識
慢性腎臓病患者はただ「やせればよい」わけではない
賴 建光
1
1獨協医科大学 腎臓・高血圧内科
キーワード:
サルコペニア
,
ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)
,
ミオスタチン
,
肥満パラドックス
Keyword:
サルコペニア
,
ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)
,
ミオスタチン
,
肥満パラドックス
pp.56-64
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_56
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★★★骨格筋は体重の約40%を占め,内分泌機能も有する.サルコペニアはADL・QOL低下や生命予後悪化に関与する全身疾患である.
★★★慢性腎臓病(CKD)は二次性サルコペニアの代表的原因であり,進行とともにサルコペニア有病率が上昇,死亡・心血管リスクも増加する.サルコペニアは腎機能低下や末期腎不全(ESKD)進展リスクとも関連する可能性があり,治療介入の可能性が示唆される.
★★CKDにおけるサルコペニア発症には,ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)経路の活性化,筋衛星細胞減少,ビタミンD不足,ミオスタチン過剰,ミトコンドリア機能障害が関与する.
★★★保存期CKD患者では「肥満パラドックス」がみられ,高体重のほうが生命予後が良好である可能性が示唆されている.
★★★サルコペニア合併CKD患者では,腎予後と生命予後を考慮し,個別に蛋白制限緩和を検討すべきである.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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