書評
膠原病診療実践バイブル
三森 経世
1
1京都大学 名誉教授/たけだ膠原病リウマチクリニック 所長
pp.537-537
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_537
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- 文献概要
一昔前まで原因不明の難病といわれた膠原病も,現在では病態の解明が進み治療の著しい進歩がある.今や膠原病の診療は決して専門医にのみ任されるべきものではなく,少なくともプライマリケアの段階では一般内科医や内科以外の専門医の介入が必要となる.しかし現実には,なお膠原病は難解であるというイメージが強く,依然として非専門医からは敬遠されがちである.このために適切に診断されず長期間放置されていたり,ほとんど精査もなされず不適切な治療が施されたあげくに専門施設へ紹介されることが時としてみられてきた.この原因として,発症病態に複雑な免疫異常が絡むこと,全身のさまざまな臓器を障害するため専門分化が進んだ個々の医学領域ではカバーしきれないこと,グルココルチコイド(ステロイド)や免疫抑制薬使用の十分な経験がないこと,などがあげられる.しかし,近年は関節リウマチの分子標的療法の成功に端を発し,ほかの多くの膠原病でもエビデンスレベルの高い新たな治療法が開発・導入され,診療ガイドラインが整備されるようになって,膠原病の初期診療は専門医のみならず,非専門医といえども避けてはとおれない時代となった.
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