連載 Focus On
日常診療で体重をフォローすることの重要性
鈴木 里彩
1
1東京医科歯科大学総合診療科
キーワード:
フレイル
,
サルコペニア
,
指輪っかテスト
,
地域ICT
Keyword:
フレイル
,
サルコペニア
,
指輪っかテスト
,
地域ICT
pp.345-350
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_345
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体重測定は単純な手技であるが,体重の変化はさまざまな病態を覚知するきっかけとなる重要な指標である.体重減少はそれだけで死亡率の増加と関連していることが知られているうえ,慢性疾患ではobesity paradoxとよばれる,BMIが高いほうが予後がよいという現象も知られており,高齢者の体重減少にはとくに注意して対応する必要がある.骨格筋は除脂肪体重の半分以上を占め,体重減少の主たる要因になりえる.精査しても原因疾患が見つからない場合は,サルコペニアが重要な鑑別の一つであり,介護とも連携した適切な介入が求められる.体重増加の場合も,常に体液量の変化を念頭に置いて診察・検査を進める必要がある.多忙な外来で体重を測定するには工夫が必要だが,「意図しない体重減少」を覚知するために,少なくとも3ヵ月に一度程度は測定を試みてほしい.地域ICTなどを活用して,体重やその変化に対する解釈を多職種と共有することも重要である.
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