連載 Focus On
在宅医療の障壁
-血液疾患の在宅医療を中心に
大橋 晃太
1,2
1トータス往診クリニック
2NPO血液在宅ねっと
キーワード:
二人主治医制
,
在宅輸血
,
Community Hematologist
Keyword:
二人主治医制
,
在宅輸血
,
Community Hematologist
pp.329-336
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_329
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多死社会を迎えているわが国において,地域包括ケアシステムを基盤として,住み慣れた自宅で最期まで過ごせる体制が構築されつつある.一方で,分子標的治療薬(免疫チェックポイント阻害薬を含む)などの新規薬剤が多数登場し,cytotoxicな化学療法のみの時代から,高齢者やパフォーマンスステータス(PS)のわるい患者に対しても,治療選択肢が提示される時代になり,専門医療から離れにくい状況になっている.とくに血液疾患においては,化学療法や支持療法(輸血や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与など)が患者のQOLの維持に必要な場合も多く,専門医療と地域医療の連携が不可欠である.基幹病院の専門医と地域のかかりつけ医による,いわゆる「二人主治医制」が有効と考えられるが,血液内科においては地域医療側で勤務する医師が他科に比べて極端に少ないため,地域連携を難しくしている.二人主治医制が有効に機能するためにも,Community Hematologist(地域医療の現場で働く血液内科医)のキャリアパスを確立すること,地域医療でも,必要な輸血や化学療法の継続ができるような指針の作成・診療報酬面でのサポートなどが求められている.
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