Focus On
30歳以上に対するB型肝炎ワクチン予防
菊池 均
1
1名鉄病院予防接種センター
キーワード:
B型肝炎
,
ワクチン
,
接種スケジュール
,
ローレスポンダー
Keyword:
B型肝炎
,
ワクチン
,
接種スケジュール
,
ローレスポンダー
pp.1370-1377
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_1370
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B型肝炎はウイルスが肝臓内に持続感染し,将来の肝硬変や肝細胞がんの原因となり疾病負担が大きく,ワクチンで予防する価値は大きい.一方,ワクチンの有効性は,19歳以下では高いが年齢とともに低下し,30歳以上では3回接種しても抗体陽性率が75%程度以下と低い.
基礎接種には0,4,20~24週の標準接種法の規定がある.抗体獲得の確認と追加接種の判断のため,3回目接種後4週以上後の抗体測定が望ましいが,来院が難しい場合が多い.代用の方法として,3回目接種時にHBs抗体を測定し,2.0 mIU/mL未満の場合に4回目の接種を推奨する方法が考えられる.
B型肝炎ワクチンに追加接種スケジュールの規定はない.漠然と0,4,6ヵ月の標準接種法を繰り返す場合が多いが,速やかに免疫をつける必要がある場合に時間を浪費する.4回接種以降では,4週間隔でワクチン接種と抗体検査を行い,HBsAb≧10.0 mIU/mLになるまで反復し,その後1年後に1回追加接種する方法が考えられる.
海外では,GSK社のワクチンが日本のワクチン(10 μg)の倍量の20 μgの抗原を含み,5倍以上の高い免疫原性を示す.通常の0,1,6ヵ月の3回接種する方法以外に,0,1,3週+1年後の4回接種する方法がある.最初の3週間で,日本でなら2年かかる量の抗原を投与する.この方法で非常に高い免疫が得られる.
日本のワクチンを6回接種して免疫がつかなかった場合もあきらめる必要はない.当院では7回目以降の接種で免疫がついたことが確認されている.
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