特集 ワクチンのよくある質問に答えます
【状況に応じて必要となるワクチン】
❹A型肝炎ウイルス(HAV)・B型肝炎ウイルス(HBV)—HAVワクチンはどのような人が打つべきですか?/HBVワクチンはどのような人が打つべきですか?
峯 優一郎
1
,
齋田 瑞恵
1
1順天堂大学医学部 総合診療科学講座
キーワード:
HAV
,
A型肝炎
,
HBV
,
B型肝炎
,
ワクチン
,
接種対象
,
乳幼児
,
定期接種
Keyword:
HAV
,
A型肝炎
,
HBV
,
B型肝炎
,
ワクチン
,
接種対象
,
乳幼児
,
定期接種
pp.56-57
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350010056
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◦増加傾向にあるHAV感染
A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus : HAV)はピコルナウイルス科ヘパトウイルス属の一本鎖RNAウイルスであり、主に汚染された水や食品の経口摂取によって感染する糞口感染症の1つである。日本は諸外国と比較しても衛生状態がよく、HAV抗体を保有しない人の数が増加しており(20〜59歳では保有率0〜2%)、感受性が大きくしばしばアウトブレイクを引き起こしやすくなっている1)。近年の感染報告数は年間100〜300件で推移していたが、2018年は1年間の累積で925例が報告され、発生数が突出して増加した。感染者の年齢中央値は37歳、感染者の9割が男性であり、性的接触による感染が53%であったと推定されており、性感染症の1つとして認識されるようになった2)。
潜伏期間は14〜28日間であり、発熱、倦怠感、嘔気・嘔吐、下痢などの腹部症状で発症し、基本的には自然軽快し終生免疫が得られる疾患である。稀だが、一部の症例では劇症肝炎化し死亡することもある。
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