連載 Focus On
血液検査のパニック値への対応
増田 亜希子
1
1虎の門病院分院臨床検査部
キーワード:
パニック値
,
critical value
,
連絡体制
Keyword:
パニック値
,
critical value
,
連絡体制
pp.150-155
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_150
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パニック値とは,すぐに対応しなければ患者に危険な状況を招く異常値であり,迅速・確実に担当医に伝達される必要がある.医療事故情報収集等事業第59回報告書によれば,2015年1月~2019年9月に血液検査の結果の確認不足に関連した事例が20件報告され,因果関係は不明であるが,うち5件は死亡例である.検査結果の確認不足による患者への重篤な影響を防ぐため,各施設の臨床検査部門では,各施設の特性に合った検査項目・基準を設定して,パニック値の連絡体制を構築している.電話連絡のみでなく,電子カルテや文書により,日時や検査結果,連絡者や連絡先医師名などの記録を残すことが重要である.担当医不在時の連絡・対応体制を整備するとともに,院内に周知を行う必要がある.パニック値の連絡を受けた医師は,情報を確実に共有するため,連絡内容の読み返しを行うことが望ましい.速やかに専門診療科にコンサルトする,処方内容を変更するなどの適切な対応を行うとともに,対応内容をカルテに記載することで,他職種のスタッフとも情報を共有できる.
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