特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第8章:神 経
Parkinson病はさまざまな治療を組み合わせれば天寿を全うできるかもしれない
濱田 雅
1
1東京大学医学部附属病院脳神経内科
キーワード:
Parkinson病
,
薬物療法
,
病型の多様性
Keyword:
Parkinson病
,
薬物療法
,
病型の多様性
pp.608-610
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_608
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Parkinson病は動作緩慢,安静時振戦,筋強剛を呈する神経変性疾患であり高齢化に伴いその患者数は増加している.実際に疫学調査においても,高齢者のParkinson病患者は増加していることが示されている.したがって脳神経内科のみならず多くの診療科において併存疾患として目にする機会も非常に多くなっていると思われるが,各患者の処方内容や進行度合いについて,一様でないことに気づかれる方も多いのではないだろうか.実際にParkinson病と一口に言っても個々の患者で呈する症状や進行度合いはバラエティに富んでいることがわかっており,多様な病型に合わせて個々の治療法が異なってくることを理解する必要がある.またParkinson病の治療の中心は現在でも薬物療法であるが,近年ではその薬物療法自体も進歩してきているとともに,薬物治療抵抗性の症状が顕在化してくる進行期においてもdevice aided therapy(DAT)といわれるデバイスを用いた治療法が開発され利用できるようになっている.すなわちParkinson病の治療は早期・進行期いずれにおいても多くの選択肢がある.進歩し続けるこの多様な選択肢を十二分に活用することによりParkinson病患者は十分天寿を全うできると考える.本稿ではParkinson病の疫学,病型の多様性および治療法について概説する.
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