連載 ドクターGとドクターS ~「Generalist⇄Specialist」連携のポイント~
ケース ② 逆流性食道炎
小池 智幸
1
1東北大学病院消化器内科
pp.310-315
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_310
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今回のポイント
かかりつけ医の役割 Generalist
✓胸やけ症状,吞酸症状が主訴であれば逆流性食道炎を含め胃食道逆流症(GERD)を疑う.
✓GERD症状を速やかに消失させることがQOLの向上につながる.
✓第一選択薬はプロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であるvonoprazanであり,重症例ではvonoprazan投与が推奨される.
✓PPIもしくはP-CAB投与によりGERD症状が軽快した場合は,その症状が酸の逆流によって出現したものであることがある程度推察できる(PPIテスト/P-CABテスト).
✓薬物治療とともに肥満者に対する減量,喫煙者に対する禁煙,夜間症状発現者に対する遅い夕食の回避,就寝時の頭位挙上などの生活指導を適宜行う.
✓PPIによる維持療法の安全性は高いが,酸分泌抑制薬は必要に応じた最小限の用量で使用する.なお,高齢者におけるヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の使用は,若年者に比較しせん妄などの副作用を引き起こす可能性が高いため,適応を慎重に判断する.
専門医との連携 Specialist
✓内視鏡検査により,鑑別疾患として好酸球性食道炎や食道アカラシアなどが,逆流性食道炎の合併症として食道狭窄やBarrett食道腺がんが診断できる.
✓1年以内に内視鏡検査を施行していない場合は悪性疾患否定のためにも内視鏡検査を勧める.
✓GERD症状を訴える患者のなかには,内視鏡所見だけでは診断できない場合があり,食道インピーダンス・pHモニタリング検査やマノメトリー検査を行える施設との連携が必要になる場合がある.
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