連載 ~知っているようで,実は十分に理解していない~ 医療に関する制度のあれこれ
第6回 循環器病対策推進基本計画
波多野 将
1
1東京大学大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座
pp.316-320
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_316
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2018年の本邦における「人口動態統計」によると,心疾患は死因の第2位,脳血管疾患は第4位であり,両者を合わせると年間31万人以上の国民が亡くなっています1).さらに,2019年の「国民生活基礎調査」によると,介護が必要となった主な原因に占める割合は,脳血管疾患が16.1%,心疾患が4.5%であり,両者を合わせると20.6%と最多となっています2).また,2017年度版「国民医療費」の概況によると,2017年度の傷病分類別医科診療医療費30兆8,335億円のうち,循環器系の疾患が占める割合は6兆782億円(19.7%)と最多です3).このように,循環器病は国民の生命や健康に重大な影響を及ぼすとともに,社会全体にも大きな影響を与えます.このような状況のなか,誰もがより長く元気に活躍できるよう健康寿命の延伸等を図り,あわせて医療および介護に係る負担の軽減に資するため,予防や医療および福祉に係るサービスの在り方を含めた幅広い循環器病対策を総合的かつ計画的に推進することを目的として,「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(平成30年法律第105号)が2018年12月に成立し,2019年12月に施行されました.本法をもとに策定されたのが「循環器病対策推進基本計画」であり,これは国の循環器病対策の基本的な方針について明らかにするものです.
© Nankodo Co., Ltd., 2021