連載 ~知っているようで,実は十分に理解していない~ 医療に関する制度のあれこれ
第8回 がん患者の就労支援
松永 直子
1
1国立がん研究センター中央病院相談支援センター
pp.1085-1089
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_1085
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がん患者の3人に1人が就労可能年齢で発病しています.がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19.8%,そのうち初回治療までに退職・廃業した人は56.8%に上ります.これから治療で家計費が負担増となるなかで,経済的な破綻によって治療継続が厳しくなることも予測されます.がんの診断を受け,「治療のことで頭がいっぱい」「仕事と両立などできない」と思い込み退職してしまう人や,再就職先へのアプローチに悩む人もいます.
2016年のがん対策基本法改正時に患者の就労支援の強化が盛り込まれました.がんになっても仕事と治療を両立できるよう,企業などの事業主に対して患者の雇用継続に配慮する努力義務が課されました.今の職場で配慮を得ながら仕事を継続したり,新たな仕事に就くために整備された制度があります.
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