特集 予防医療―包括的な提供を目指して
Overview
日本と海外との比較
-英国GPが行う予防医療
佐々江 龍一郎
1
1NTT東日本関東病院総合診療科
キーワード:
予防医療
,
英国医療
,
過剰診断
,
総合診療専門医(GP)
Keyword:
予防医療
,
英国医療
,
過剰診断
,
総合診療専門医(GP)
pp.1047-1050
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_1047
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Summary
▪英国では地域の予防医療において総合診療専門医(GP)が中心的機能を果たしている.メタボリックシンドローム検診,一部のがん検診,ワクチンや主要慢性疾患の管理まで幅広く包括的にGPが行っている.
▪英国では本邦と異なり医療はフリーアクセスでないため,基本的には緊急を要する疾患でない限り,まず診察を受けるのは登録している地域のGP診療所であり,患者は継続的な医療を受けることになる.この「継続性」の最大の利点は,「蓄積された医療データ」を活用して,患者単体だけでなく「地域単位」で登録患者全体の予防管理を行えることである.また本邦のように小刻みな検診などは義務づけられていない反面,頻回の接触を活かし包括的に予防介入ができる機会も多々ある.
▪英国では,医療データはelectronic health record(EHR)で管理されており,診療所や病院の救急外来,看護ステーション,時間外医療施設の間で,患者の電子カルテをリアルタイムで情報共有できる.
▪患者データは互換性があるため,患者の生涯の医療データは患者が地域を移っても,次の登録GPに引き継がれる.ここで蓄積された医療データは患者の健康を守るため積極的に活用される.
![](/cover/first?img=j_naika126_1047.png)
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