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口腔ケアの定義
口腔ケアの定義については,関連する歯科学会からそれぞれの提言がなされており,いまだその統一はみられていない.日本口腔ケア学会では「口腔ケアとは,口腔の疾病予防,健康保持・増進,リハビリテーションによりQOLの向上をめざした科学であり技術です.具体的には,検診,口腔清掃,義歯の着脱と手入れ,咀嚼・摂食・嚥下のリハビリ,歯肉・頬部のマッサージ,食事の介護,口臭の除去,口腔乾燥予防などがあります」と説明している1).また,日本口腔外科学会編集の「口腔顎顔面外科学専門用語集」には「歯や口腔に有害な影響を与えるような不潔因子を除去し,歯や歯周組織など口腔内を清潔に保つと同時に,その機能を高め,口腔疾患や誤嚥性肺炎の発生を予防することを指す.口腔の疾患予防,健康の保持・増進,リハビリテーションなどにより,QOL(生活の質)の向上をめざした看護や介助をいい,広義には口腔疾患の治療および予後管理,教育,相談,診査,予防処置を含み,さまざまなケアの一環として取り扱われている」2)と記載されている.口腔ケアの根本は,入院患者やがん患者,障害者,要介護高齢者などの患者に対する口腔問題を主体としたケアの総称であると理解すべきである.図1に示すように,広義と狭義の口腔ケアに分けて考えるべきであり,とくに広義の口腔ケアが「口腔ケア」と呼ばれていると考えられる.つまり,「口腔機能訓練」や「摂食嚥下リハビリテーション」も含めた,口腔に関わるすべてのケアを指して「口腔ケア」と呼んでいる.ただし,口腔ケアは一般用語として使用されており,学術用語としては「口腔健康管理」,「口腔衛生管理」,「口腔機能管理」などが用いられている.その担い手の主体は歯科医師,歯科衛生士のみならず,看護師や介護士,言語聴覚士など多職種に及んでいる.
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