特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第1章 外 科
A.呼吸器外科
肺がん
鈴木 健司
1
1順天堂大学呼吸器外科
pp.1705-1708
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1705
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肺がんとは
肺がんは数ある悪性腫瘍において最も死亡数の多いがん種である.年間8万人が肺がんで死亡するといわれる.死亡数が多いばかりではなく,罹患数に比して死亡数の割合も80%を超えるとされる.胸腔内において気管支には感覚神経が多く分布し,症状が出やすいのに対して,肺実質は感覚神経に乏しく,症状が出にくい.そして肺がんの趨勢は中枢発生の扁平上皮がんが激減し,肺野末梢の肺実質に発生母地を求める腺がんが激増している.つまり症状に乏しい肺がんが増えている状況にあり,発見が遅れる傾向にある.早期発見が強く望まれるのであるが,そのためには胸部CTによるスクリーニングが必要である.米国の臨床試験によれば,適切にCTスクリーニングを適応することで死亡率を20%も減少させることができると報告されている1).一方で,本邦ではすでに胸部単純X線像での検診が浸透しており,当面CTへの切り替えは難しいであろう.現状においては個人のレベルで胸部CTによる検診を促進するしかない.また胸部単純X線像で発見された肺がんはすでにかなり進行している状況にあることが多いということも啓蒙すべきである.胸部単純X線像で問題が指摘されなくても,肺がんが完全に否定されたものではないことを銘記すべきであろう.
© Nankodo Co., Ltd., 2019